2010年11月30日火曜日
続・マーガレットちゃん
週刊マーガレットを見るかたわら…
姉妹誌の別冊マーガレットとデラックスマーガレットを何冊か閲覧しました。
デラマのほうは今年廃刊したようです。とても分厚い雑誌でしたよね…。病院の待合室でよく読んだなあ。
創刊当初は季刊で、高橋真琴さんの美しい表紙や口絵がどっさりでした。このポストカード持ってるー、という見覚えのある美しい絵ばかり!こちらも購読したーい!
まさにデラックスですね。
別マは本誌で終了した連載をまとめた「総集編」が売りで、「ぜんぶ読めます」というアオリと美しいカラー扉絵が目をひきました(当時の本誌はカラー扉がないのです)。連載終了後すぐに単行本を出さずに、まず総集編が出るところが現在とは違いますね。(近い日に単行本の発行日と総集編の掲載号を見比べてみますね。)
デラマと別マは本誌の最先端少女まんがに比べると、一世代前の男性作家や、ほぼ貸本スタイルの作品など、新旧世代が混在している状態でした。
その中に高橋真琴さんの絵物語や、峯岸ひろみさん、松本あきらさんの短編があったりして、ゴージャス感もあります。読み物のカットをわたなべまさこさんが描いていたのもすごいです。超売れっ子がそんな細かいお仕事…。わたなべさんはユーモラスなカットも上手いので面白かったです。
今回とりわけ衝撃的だったのが、西谷祥子さんがデラマに発表していた短編群です。単行本未収録なのがもったいないくらい!これは短編集が編まれるべきだと思いました。
「金色のジェニー」、「不良少女」、「薔薇少女」、「踊る人形」などなど…。
数編読んだだけですが、どれもすばらしいです。西谷さんは学園ものだけでなく、短編でも名手なのですね!(いまさらスミマセン…)
これらの作品は娯楽作品というより、純文学のような味わいです。俯瞰的なモノローグがたくさん出てきて、なんだか大人っポイ。「金色のジェニー」は混血児、「不良少女」はフーテン、というように当時の社会問題を取り上げているところも特徴。「不良少女」が更正する話なのかなー、と思っていたら、ふつうの少女が不良になってフーテンに転落するまでの話で…。救いのない結末…。「金色のジェニー」も混血児ゆえに社会の底辺から這い上がれない、という話でした…。華やかな絵がせめてもの少女まんがらしさでしょうか…。
当時主流だった夢いっぱい!といった作品ではないのですが、精巧な短編を読んだ時のような鮮やかな読後感が印象的でした。「薔薇少女」、「踊る人形」は幻想文学のような妖しい香気が溢れたロマンチックな作品です。
どこかで西谷さんの短編集が編まれますように…。
2010年11月29日月曜日
マーガレットちゃん
国会図書館に行ってきました。
週刊少女フレンド、週刊マーガレットなどを閲覧しようと向かったのですが…。
がっかりなことに!週刊少女フレンドはデジタル化の作業中のため、来年4月まで見られないそうです…。がーん。
しかも、デジタル化されたものは原本の閲覧ができなくなるとのこと。劣化がひどいため仕方ないみたいです。酸性紙でしたっけ…?
気を取り直して、週刊マーガレット、デラックスマーガレット、別冊マーガレットを閲覧してきました!
最近読んだ本村三四子さんの「Oh!ジニー」がすばらしかったので、その当時の掲載誌を見てみようと思ったんです。
連載開始が1968年であることを確認しておいたので、週刊マーガレットを1年間通して見てみることにしました。ひたすら目次を見続け、7月の29号でようやく新連載の文字を発見。 「Oh!ジニー」の前には「夢見るコリンヌ」という作品を連載していたこともわかりました。こちらも読まなきゃですね。
この年は…60年代のマーガレットを支えた代表的な作家さんの連載が目白押しで見応えがありました。水野英子さん、忠津陽子さん、わたなべまさこさん、鈴原研一郎さん、浦野千賀子さん、古賀新一さんなどなど…。錚々たる顔ぶれです。購読したーい!
マーガレットでは新人時代の池田理代子さんと矢代まさこさんの短期連載は新しい感覚が際立っていました。増刊では大島弓子さん、竹宮恵子さんの読み切りも。70年代に活躍する、いわゆる24年組の作家さんがデビューし始めた時期でもあったんですね。世代交代前夜で、60年代スタイルの少女まんがの成熟期でもある年だったということでしょうか。
国会図書館は寒いですね~。長居するなら、防寒対策したほうがよいです。
2010年11月26日金曜日
本村三四子『Oh!ジニー』
〈恋……か 恋ってどんなものかしら?
楽しいものかな?
それともちょっぴり悲しいものかしら?わかんない……〉
「Oh!ジニー」1巻P69集英社刊 より
先日、本村三四子さんの「Oh!ジニー」(全2巻)を購入しました。
本村さんの作品は復刻されているものがほとんどないため、当時の単行本か雑誌で読むしかないんですよね。
値段がなかなか下がらないので、わたしはほとんど持っていないです。
ヒット作の「奥さまは18歳」も文庫版を1冊持っているだけですし…。
美品でなかったため格安で売られていたものを購入したのですが、今まで何で読まなかったのかしらバカバカ!というくらいに面白かったですよ!
「Oh!ジニー」は、オテンバなヒロイン・ジニーが繰り広げるアメリカのハイスクールもの。
現代では映画かドラマでヒットする内容かな?チアとか、パーティとか、ステディとか…。少女まんがでは廃れたジャンルの1つかもしれません。
絵がすっきりと見やすくてかわいいし、テンポが良いので、あっという間に読んでしまいました。
なんと言ってもヒロインのジニーが面白くて!
男まさりなバトンガール(コスチュームがかわいい~)のジニーがシャンデリアにぶら下がったり、手すりをすべり降りたり、パーティでお酒を飲んで暴れたり、転校生に男子に間違われたり…。
同居しているイトコのお姉さんから、男の子にキュンとしたことないの?と問われると、こう答えます。
〈アイスクリームをたべすぎておなかがキューンとしめつけられたことならあるわ〉
前掲書P68
恋に恋するお年頃なわけですね…。
かわいいなあ。
淡い初恋やいくつかの事件を経て物語は大団円を迎えます。
さわやか、ハツラツ、ちょっぴりおセンチな本村ワールドをこれからも読んでみようと思います。
2010年11月24日水曜日
大和和紀『初恋戦線異常あり』
キュートさピカイチな大和和紀さんの初期作品集。
「真由子の日記」以前の作品はなぜだか若木書房から出ているんです(掲載はフレンド)。現在では定価以下で買えないものがほとんどなので、集めるのが大変…。文庫化の気配もなし…。
この本には1971〜72年の読みきり、短期連載が集められています。
時期的には初期の代表作「モンシェリCoCo」の頃です。この後、「ラブパック」、「ひとりぼっち流花」等の連載を経て、大ヒット作「はいからさんが通る」に至ります。
「初恋戦線異常あり」はノッポでおてんばなヒロインの初恋を描いた学園ドラマです。
ここでも紅緒さんに通じるような快活さが作品の核となっています。
大和さんはヒロインを動かすことにかけては天才的ではないでしょうか。
造形が魅力的なだけでなく、動きを感じさせる画面作りがヒロインを輝かせています。
この表紙かわいいなあ。表題作のキャラクターではないけれど、少女まんが的に無敵な表紙だわ…。
2010年11月23日火曜日
神奈幸子『恋はロックで』
また神奈幸子さんの本を購入しました。
週刊少女フレンドで1973年に連載された作品です。
アメリカを舞台にしたステージもので、主人公が男女ロックデュオというのがかわいかったです。お臍だしルックとか、テンガロンとか…。モデルになったグループはあるのかしら?カーペンターズよりは激しそうな雰囲気です。アコギ使用ですケド。
喧嘩ばっかしてるけど、実は…という王道の設定。
ヒロインは音楽一家の落ちこぼれで、妹は15歳でパリ・オペラ座に出ているらしいです。すごいなあ…。ヒロインもクライマックスではカーネギー・ホールに出演します。
1973年は大和和紀さんが『ラブパック』、里中満智子さんは『アリエスの乙女たち』を連載していた年ですね。
この2作は両作家さんの代表作の1つですから、当時の週フレはかなり盛り上がっていたのではないでしょうか。
近い日に国会図書館で週フレを確認してみようと思います。
2010年11月18日木曜日
西谷祥子『書かれなかった手紙』
こんな本が出てるとは知らなかったです!大西谷の講談社の単行本!
西谷さんが1980年代にmimiに掲載したものを集めた作品集でした。
キャンパスラブとか、スケバンとか、風俗描写が面白かったです。学園ものの第一人者ゆえ、ばっちり時代を反映した作品になっています。
週刊マーガレットの連載を60年代から80年代まで続けていたというのは本当にすごいです。同時代の作家さんで少女ものを続けている方は少ないのではないでしょうか。
表紙はいつもと変わらずキレイですね。
ヘアスタイルなどは紛れもない80年代ですが…。
西谷さんが描きつづけた「等身大の少女」というテーマは永久不滅です。
2010年11月17日水曜日
高階良子『地獄でメスがひかる』
引き続き講談社のまんがを引っ張り出して眺めています。
講談社系のまんがの中で外せないもののひとつが高階良子さんの作品です。
どこかで読んだのですが、彼女の転機となった作品は『黒とかげ』(江戸川乱歩原作)だったんですって。
それまではふつうのラブコメのような作品を描いていて、低迷期だったとのこと。
自分の好きなものを、と思い切って発表した『黒とかげ』が好評をはくしてからはミステリ、伝奇ロマンの分野で数々の名作を発表しています。
青池保子さんも講談社ではスランプ時代を過ごしていましたから、少女誌の制約が強かった時代だったんですね(中でも講談社はマジメな印象かな?)。
『地獄でメスがひかる』は1972年になかよしに掲載された作品です。
この表紙、夢二式美女の流れをくむ、と言いたい高階式美女ですばらしいですね…。
憂いをふくんだ流麗な身のこなしに不似合いな血みどろ感…。
怪奇ロマンにピッタリな絵で大好きなんです。
この作品はヒロインが女性版フランケンシュタイン…というのが独創的でした。
容姿に恵まれず、誰からも愛されない少女・ひろみが脳移植によって美少女に大変身してしまうんです(大胆な設定!)。
この創造的行為は無免許医・巌(もちろん美男子)が、自分を追放した医学界を見返すための手段なので葛藤が生まれることに…。
巌は野心のためにひろみを犠牲にするのか…?
2つの傷ついた魂、ひろみと巌の行方は…?
わー、書いていてかなり盛り上がってしまいました…。
文庫化されていて、現在も入手しやすいと思うのでお手にとってみてください。
2010年11月16日火曜日
森谷幸子『初恋日記』
神奈幸子さんの作品を読んだら、他にも色々読み返したくなってしまいました。
別フレの作家さんでもう一人、森谷幸子さん。
上記の作品は学園ドラマの『初恋日記』。
彼女も神奈さんと同様に別フレの主軸だった方だと思います。
美少年をアドニスと呼ぶ当時の感性がすてきです。
女性だと、アフロディテとか、ディアナとか…。わかりやすくヴィナスとか。
美形=神話世界の住人なんですね。ヘルマフロディトスもあったような…(わー)。
森谷さんに限らないですが、当時の少女まんがは文学趣味、西欧趣味が濃厚。
『ル・プラトー』はコメディ・フランセーズを舞台にしたコスプレものでした。
演劇ものでは『ガラスの仮面』という超メジャー作品がありますが、フランス演劇界を舞台にした作品は珍しいのではないかと思います。
もちろん、ヒロインはラシーヌのフェードルを競うんですよ。
格調高いなあ…。当時(1970年代)の一般教養なんでしょうか?
神奈幸子『星のレクイエム』
ほぼ毎日少女まんがを読んでいます。
昨日買った、神奈幸子さんの『星のレクイエム』。
題名から結末が想像がついてしまう典型的少女まんがでした。
金髪碧眼、長髪巻き毛、レースのブラウス、薔薇、ワイングラス……。
美形ヒーローの条件ばっちりの表紙がいかしてますね。
彼女の単行本でヒロインが描かれていないのは珍しい。
このロックスターみたいな彼は意外にも天才ピアニストなんです。
ヒロインはピアニスト志願のコンセルヴァトワールの学生。
師匠の家で生活を共にするうちに彼の情熱に魅せられて…。
神奈幸子さんは別冊少女フレンドで活躍されていた作家さんです。
この作品も別フレに掲載されたようです。
本誌の週刊少女フレンドでは大和和紀さん、里中満智子さんという2枚看板が大活躍していた時代。
二人の作品のような強烈な個性はないのですが、フレンドという講談社の伝統にぴったりの作家さんではないでしょうか。
華やかな画面作りで、学園ドラマ、歴史物、メロドラマなどの多彩なジャンルを手がけています。
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